【JAPAN最新号】リュベンス、郷愁に衝撃を潜ませたアートなポップ

【JAPAN最新号】リュベンス、郷愁に衝撃を潜ませたアートなポップ
ひとりでもDTMで音楽が作れる時代。そんな今、あえて楽器を手に持って集う──それそのものが意志だと思う。しかも、この4人組バンド・リュベンスは、2022年に青山学院大学の軽音サークルで出会ったメンバーにより結成され、2023年4月に活動をスタートしている。そう、世の中がコロナ禍にもがいている頃に結成され、がんじがらめの状況が解かれだした頃に活動をスタートしているのだ。時期を鑑みても、「このバンドで音楽を生み出す意味」を、最初から噛みしめている4人に思える。メンバーはセレナ(Vo・G)、悦(G)、Mary(B)、まつまる(Dr)。コロナ禍にエネルギーもアイデアもためたのか、既にEP2枚、配信シングル5作をリリース。ライブ活動も積極的で、12月3日にはLIQUIDROOMでindigo la EndDADARAYのオープニングアクトを務める。

リュベンスが注目されたきっかけは、今年6月にリリースされた“天使さん”。
私は最初、そのMVとバンド名を見て、『フランダースの犬』の主人公ネロが憧れた画家・ルーベンスを連想した。実際、詞曲をプロデュースする悦は大学時代にルーベンスを研究していたとのこと。確かに、楽曲からはポップがアートに根を張っているようなブレなさを感じる。


11月20日には2nd EP『murmur』をリリース。タイトルを筆頭に秀逸な言葉のセンスが光る“水の骨”。心地よく耳に流れ込むメロディに《トゲトゲの音掻き鳴らすわ》という歌詞がのる“棘棘”。チャーミングな雰囲気の“泣いてみたくなった”。ザッカザカの歪みがロックの琴線に触れる“チャコール”。穏やかなイントロながらタイトルは“ほがらかな呪い”……!?と、鮮やかな色彩に感動や衝撃がちりばめられた、全5曲が収録されている。


来年1月24日には、新代田FEVERで初のワンマンライブが控えている。
ノスタルジックなサウンドスケープ、セレナの儚げな歌声、ジャンルレスに飛んでいけそうなアンサンブル。遥かなる可能性に満ちたリュベンスに、楽曲で、ライブで、どっぷりと浸ってみてほしい。

文=高橋美穂
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より抜粋)


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