ジョン・レノンはいかに“失われた週末”をくぐり抜け、自身を取り巻く愛を再確認したのか? ヨーコ公認の愛人、メイ・パンとの関係に肉薄したドキュメンタリー『The Lost Weekend: A Love Story』

ジョン・レノンはいかに“失われた週末”をくぐり抜け、自身を取り巻く愛を再確認したのか?  ヨーコ公認の愛人、メイ・パンとの関係に肉薄したドキュメンタリー『The Lost Weekend: A Love Story』 - rockin'on 2022年8月号 中面rockin'on 2022年8月号 中面

ジョン・レノンオノ・ヨーコと別居し、放蕩を繰り返しながら『マインド・ゲームス(ヌートピア宣言)』、『心の壁、愛の橋』、『ロックン・ロール』を制作した、1973年から75年にかけての、いわゆるジョンの“失われた週末”期。この時期、彼はもともと自身とヨーコのアシスタントだった、メイ・パンをヨーコ公認の愛人として行動を共にしていたが、そのメイ・パンとジョンの関係を取り上げたドキュメンタリー映画『The Lost Weekend: A Love Story』が話題を呼んでいる。

この作品はニューヨークで6月に開催されたアメリカを代表する映画祭のひとつ、トライベッカ映画祭でプレミア公開されたが、メイとジョンが愛を紡いだ数年間の思い出をメイの言葉と映像と共に振り返るものになっている。また、この時期ジョンが過度のアルコールや薬物の使用で荒れていて、時にはメイにも暴力をふるっていたなどという赤裸々な内実や、当時ジョンが頻繁に呼び寄せていた最初の妻シンシアとの息子ジュリアンのほか、さまざまな人物の証言も収録している。

メイはこれまでにも、ジョンとふたりで過ごしたこの時期の記憶や写真を書籍として何度か刊行していて、その最新のものが『ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド Instamatic Karma』になる。今回のドキュメンタリーはそうした内容の映像記録バージョンということになるのだろう。

これまでのメイの証言でわかっているのは、この時期のふたりは心底愛し合っていたこと、ジョンがこの時期からポール・マッカートニーとの交流を再開させ、ライフスタイルとしてのロックンロールをまた享受するようになり、その生活の中から、ジョン自身にとって非常に大きな意味を持つ先の3作品が形になったということだ。つまり、自身の原点を捉え直したわけで、その瞬間に居合わせたのがメイだったということだ。

ただ、ひとつ残る謎はなぜふたりが別れたかということだ。メイはこれまで、ふたりが暮らす家を買う予定もあったのに、ある日を境に人が変わったようになって自分のもとを去って行ったと振り返っている。この謎が今回の作品で明らかになるのかどうか、そこがとても気になるところだ。 (高見展)



ジョン・レノンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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