イーノとの再会を果たした『エヴリシング・ザット・ハプンズ・ウィル・ハプン・トゥデイ』以降、共演作が続くデヴィッド・バーン。まるで他のミュージシャンを媒介に自身の音楽力を高める手法に開眼したかのようにさえ見えてくる。そして実際、トーキング・ヘッズ解散後の90年代に出してきたソロよりも、明らかに近年の活動内容の方がパッとしている。長いことファンを続けてきたが、どうやら彼が「他人と一緒にやった方が成果を出せる」資質の持ち主らしいという推察は、個人的なバーン観を大きく変えそうだ。
今回は、ファットボーイ・スリムとやった前作『ヒア・ライズ・ラヴ』に参加した大勢の女性シンガーの1人でもあるセイント・ヴィンセントとのコラボレーション。全編にフィーチャーされたキレのあるブラスの小気味良い音に乗せ、才媛を従えて気持ち良さそうに歌うバーン先生の声からは、引き続き絶好調な様子がビシビシ伝わってくる。こういうことであるならば、もうトーキング・ヘッズは再結成しなくてもいいな、という気持ちが固まってきた。ザ・ダップ・キングスとアンティバラスが参加したトラックも最高。(鈴木喜之)
もうずっと共作でいいです
デヴィッド・バーン & セイント・ヴ ィンセント『ラヴ・ディス・ジャイアント』
2012年09月12日発売
2012年09月12日発売
ALBUM