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“Musica”を初めて聴いたとき、すぐに前のめりになった。心の底からヒリヒリとした感情が湧き出てきたから。ブランデー戦記がもたらす、このヒリヒリ感は一体なんだ? 《私に足りないのは人生経験とあと何かしら》(“Musica”)、《二十年生きただけの小娘が/世界を知った気になるな》(“サプリ”)、《口だけ達者で困るわ》(“僕のスウィーティー”)と、この若さにして未熟さに真正面から向き合いすぎる奇妙さ故か。ニルヴァーナのコピバンからスタートしたという3人が繰り出す、《ストロークス聴いて涙を堪える》(“黒い帽子”)という大人の青春が詰まった罪なリファレンス故か。《I wanna be a rock star.》(“僕のスウィーティー”)と愚直なほどに欲望をむき出しにする無防備さ故か。1st EPでここまで人の感情を揺さぶるなんて、末恐ろしいとさえ思ってしまう。脳天を突くボリのドラムの軽快な厚み、みのりのダイナミックなグルーヴを巻き起こすベース、蓮月の透明感高くどんな曲にも染まる声も含め、この3人、ポテンシャルしかない。(前田侑希)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
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